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これが、映画「福田村事件」のタネ本だ!

先日観た「福田村事件」の映画は、エンタメ部分もあり面白く切なく、そして怖いのですが、実際の事件には存在しなかった人物が何人かいて、映画では救いとなる話となっていました。実際はもっと悲惨なようです(救いがないと言ったらいいかどうかわかりませんが)。

当時あったであろう事実を忠実に記録した本が、辻野弥生さん著の「福田村事件」です。

五月書房新社 『福田村事件』
https://gogatsushobo.stores.jp/items/646cafbb921a7000302a0959

しかし、日本人(香川県の出身の被差別部落民)が朝鮮の人に間違えらえて殺されるという悲惨さもさることながら、「朝鮮人なら殺してええんか!」という、行商の親方が映画の中で加害者にいった一言を忘れるべきではないです。

内務省警保局長が9月3日に打電したデマは、次のようなものであったといいます。

「東京付近の震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し、不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於て爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり。既に東京府下には一部戒厳令を施行したるが故に、各地において十分周密なる視察を加え、鮮人の行動に対しては厳密なる取り締まりを加えられたし。」

当時の警察組織の頂点に位置していた内務省警保局長からの打電

国家は、流言を確かめず「事実」として打電することで、瞬く間に全国に広がったといいます。恐ろしいことを、国家がおこなったのは、それまでの日本によるアジア侵略の歴史がある(朝鮮や中国の人々を苦しめてきたからいつか反撃されるだろうという恐怖感がある)からです。

この本を読み、掲載されている資料に目を通して、今のあり様を見つめることとします。