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「嫡出推定」の制度が変わる!

法制審議会の中間試案がでてきて、「嫡出推定」の規定が変わる可能性ができてきました。

時事ドットコムニュース
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020900932&g=pol

現行の民法772条からおさらいしますと、

  1. 妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定
  2. 婚姻の成立の日から200日を経過した後または婚姻解消もしくは取消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎してものと推定

とあり、これ以外の場合は、推定がなされない子ということになります。

その結果、女性だけに100日間の再婚を禁止する規定(民法733条)があったり、推定される子(嫡出子)の父親からの嫡出否認の訴え(民法744条以下ー出生をしてから1年以内)や、推定されない嫡出子(内縁関係にあって、婚姻後200日以内に生まれ場合の子)や推定のおよばない子についての親子関係不存在確認の訴えが出来るようになっています。また、2重の推定が及ぶ場合は、父を定めることを目的とする訴え(民法773条)もあります。

このような「嫡出推定」の制度によって、離婚後に生まれた子が前の夫の子であると推定されることでその認知がされない(できない)場合、無戸籍となってしまう子がおりました。その子が仮に現在の夫との間にできた子であってもです。

今回の中間試案では、

  1. 結婚や再婚した後で生まれた子は今の夫の子とみなす
  2. 女性の再婚禁止規定は撤廃する
  3. 嫡出否認の訴えを、父のみならず子からもでき、申し立ての期間を出生か、知ったときから3年か5年に延長

ということのようです。

この問題は、とても難しいのですが、まだ現実的に起きている無戸籍の問題を解消するには不十分であるという声もあるようです。つまり、離婚が出来て、再婚ができて、その後に生まれた子しか救えないといった声です。

ところで、今の科学技術では、遺伝子鑑定(DNA鑑定)で、父親は明確に定まるわけで、親も、子もなんら問題が生じていないなら、敢えてDNA鑑定をすることは不必要でしょうが、一旦問題が生じたら、DNA鑑定の結果に従って、子の父親を決めて(父親が決まって)、その子の戸籍をつくれば、文句は起きないと思うのですが・・・。 う~む (◎_◎;)

とにかく言えることは、生まれてくる子に全く落ち度はないにもかかわらず、その子に戸籍がないといった落とし穴に陥らせるべきではないことは明らかです。現行法が不備なら、さっさとベストなところまで改正されることを切に望みます。