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「タネは誰のもの」種苗法改正について慎重審議を求めたものの参議院でも可決成立

国会の種苗法の改正に関連して、「タネは誰のもの」というドキュメンタリー映画が完成したという記事が出ております。

https://biz-journal.jp/2020/10/post_188142.html

多国籍企業が種を独占し農家が破綻する懸念…映画『タネは誰のもの』種苗法改定案に警鐘の画像1

この法案は、賛否両論があるのは既報の通りで、よく審議を尽くしてほしいと思っていましたが、2020年12月2日に参議院でも可決成立してしまいました。

日本弁護士連合会も意見書を提出して、「十分に審議を尽くしたうえで、早期に改正されることを求める」という主張をしておりました。反対派の不安には「誤解がある」という立ち場を取っていました。https://news.yahoo.co.jp/articles/196ca7e5eda35882cf281c80cb5b7d034d678c62

https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2020/201021_2.html

弁護士の中には、この法案に反対の方も相当数いると思うのですが、弁護士連合会として、一方の旗振りしていることが気になりました。何なんでしょうかね~? 

その後、本法案は、2020年11月17日に衆院農林水産委員会で可決し、11月19日に衆議院で可決されたというニュースが入ってきております。このとき、農家負担への配慮を政府に求める付帯決議も採択したとか。

さらに、弁理士会からも2020年11月20日に声明が出されました。https://www.jpaa.or.jp/opinion/202011plant-variety-protection-and-seed-act/

「参議院において十分に審議が尽くされた上で、早期に可決されることを望みます。」とあります。(十分な審議と早期可決は相矛盾すると思いますけれども ( ゚Д゚) )

そして、改正案として不十分な点が、「現行の種苗法では、職務育成品種に関する規定が特許法における職務発明に関する規定(特許法第35条)と対応していない、特許法では導入されている通常実施権の対抗力(特許法第99条)に対応する規定がないなど、他の知的財産法制との整合性が取れていないばかりでなく、特許権と育成者権を組み合わせて植物新品種の保護を図ろうとする場合に、不便な点があります。」と指摘されております。問題はそこですか? とは思います。

ちなみに、産経新聞の【主張】には、以下の意見がありましたーこの新聞は、いつもは違うベクトルの論調と思いますが (^^)/ 

https://www.sankei.com/smp/column/news/201124/clm2011240002-s1.html

『だが、一部の農家には負担増への不安が募っている。立憲民主党も衆院での審議で「許諾料が高くなり、農家の負担が重くなるのではないか」との懸念を示した。 

農水省は、登録品種の多くは国や自治体が開発し、普及を目的としているから高額の許諾料にはならないという。適正価格による安定供給をどう担保し、価格上昇をいかに抑えるかなど、具体的な施策を示すべきだ。 

改正されると、許諾料目当てに海外の多国籍企業による種子の支配が進むとの懸念もある。 

農水省は、日本の競争力が圧倒的に高いことを理由に心配する必要はないというが、説得力に欠けるのではないか。 

衆院の審議時間はわずか7時間だった。育成者権を守りつつ、農家の不安を払拭するためにも、参院で徹底した審議を求めたい。』

そして、参議院でも、2020年12月2日に可決成立したので、改正種苗法は2021年4月から施行されるそうです。(^^;)