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ついに、甲状腺がん訴訟が提起!

以前(2021年3月12日)にも本サイトに書きました、原発事故による甲状腺がんの発症について、ついに、被害者が声を上げ東電を提訴するに至りました。

東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/156781

原発事故による被ばくで甲状腺がんを発病したとして、東電に賠償を求め提訴後、記者会見する原告弁護団ら=いずれも東京・永田町の衆院第1議員会館で
記者会見する原告弁護団ら=いずれも東京・永田町の衆院第1議員会館で(東京新聞記事から)

検査を打ち切り、真実をうやむやにし、被害者を置き去りにするこの国やり方は、責任が追及されてしかるべきでしょう。県の専門家会議が、被爆との因果関係は認められないと言い続けてきたことについて、責任を明確にしていく必要があります。

このような問題をはらむ原発がクリーンエネルギーの一つとして、エネルギー政策をいまだに推し進めようとする国(特に、経産省)のありかたは、許されるべきものではないでしょう。

3.11がまたやってきた(‘ω’)

あれから、12年と7日。現地は、まだ震災復興とは程遠い状況にあるようですーあまりマスコミは言いませんが。そして、一度は原発を減らすと決めたものが、現政権によって、古い原子炉の運転期間の延長だの、原発新増設だのバカげた政策決定をし続けております。

一冊の本が出たことを知りました。2023年2月11日発行、あけび書房株式会社、著者は児玉一八先生。

https://akebishobo.com/products/genpatsu2

原発がもしもの事態に陥ったときに、どう自分らの命を守るかという視点で書かれた本だということです。

読んでいて気になったのは、福島第1原発の爆発事故で避難しなくてはならないときに、「放射能を避けることによる被害」で多くの人が亡くなったということです(第4章第2節)。被曝して死ぬのはイヤだけど、被爆しないように避難する過程で健康状態の悪化を招き亡くなるなんてあってはならないこと。着の身着のままで避難を強行されて結局犠牲になるのは高齢者という。ああ、ヤバイ状況です。あちこちの原発の避難計画って、ずさんですよね。

もう一点、気になるのは、子どもの甲状腺がんについて、この本では、甲状腺スクリーニング検査を過剰診断で行ってはいけないと言っていることです(第4章第3節)。この点は、以前書いたことと真っ向逆の立場ですね。(参考:https://www.mipo-tokyo.com/?s=%E7%94%B2%E7%8A%B6%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93

う~ん。難しい (*_*;

末尾(第7章第3節)に、原子力防災が成り立つための3か条が載っています。

  1. 原発で刻々変わる事故状況を電力会社が包み隠さず知らせ、それを信じてもらえるような信頼を、日ごろから電力会社が住民から得ているのか否か
  2. 道府県・市町村が実効性のある原子力防災計画を持ち、住民がその内容を熟知して、さまざまなケースを想定した訓練がくりかえし行われているのか否か
  3. 放射性物質の放出量・気象状況・災害や感染症などの状況を踏まえて、リスクをできるだけ小さくするためにどう行動すればいいか、住民が的確に判断するための準備ができているか否か

これを読むと、全く希望(展望)が見出せません。日本において、これ以上原発を進めることは極めて困難と思うのが、常識的な考えではないでしょうか?

福島の復興で無かったことにすべきでないこと!

映画「MINAMATA」の上映とともに、この映画の主役のユージン・スミス氏の夫人であったアイリーン・美奈子・スミスさんご本人と、福島の甲状腺がん裁判の原告(6名のうちの3名)や訴訟を進める弁護士らを招いた講演会が、2022年6月11日午後に立教大学タッカーホールであり、それに参加してきました。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220610/ddl/k13/040/019000c

福島の復興は誰しも願いますが、原発事故で起きたことを無かったことにするというのは、ちょうど水俣などの公害汚染の対応ととても似ております。

写真の中の大きなパネルの裏側に、3人の原告のちひろさん、あおいさん、みつきさん(いずれも仮名)がいて、彼女らのお話を聞くことが出来ました。若い彼女らが、本名を名乗れず、また壇上で顏を出せないことが、この事案の深刻さを物語っています。

この会のパンフレットに次の処方箋が示されておりました。

電気をどんどん使っている私たちが、福島の原発事故で一番弱い立場の子供たちに与えた被害を、彼女らが裁判を提起してしか、真実を明らかにできず、その責任を追及し補償を求めることできないというのは、おかしいことです。この日本という国の制度はおかしいですし、それを隠ぺいする歴代の政権や福島県の対応は全く承服できません。