鎌田慧セレクションー現代の記録4「さようなら原発運動」
シリーズ4作目です。この本では、3.11の事故が起きた後の反原発運動の記録です。
3.11で、東日本は壊滅的な打撃を受ける寸前まで行ったが、運よく、福島に大きな被害があったものの何となく過ぎ去ってしまって、都合の悪いことはすべて忘れてしまったかのように、いまや、再稼働だの、果ては新増設などど、経団連加盟の大手企業の労働組合もその支援を受ける政党までも言い出している。
この本は、3.11後のルポルタージュを中心に「原発とさようなら」するための運動が描かれている。しかし、我々は不幸なことに、未だ原発に「さようなら」が言えていない。
今の流れは、もう一度大きな事故が起きないと止まらないのでしょうか?それとも、もう一度起きても止まらず、日本という国が機能不全にならないと止まらないのでしょうか?そのうち、戦争でも起きて、日本海側にある原発めがけて何発かのミサイルが飛んでこないと終わらないのでしょうか?
207頁に次のような文章があります。
日本の原発は、全国19か所に54基ある。そこは反対闘争が敗れた地域でもある。原発建設は、農民の土地買収と港湾建設のための漁民の漁業権放棄が前提条件である。このふたつの条件を解決すると、あとの安全審査は、推進する経産省がおこない、監督は経産省内にある、原子力安全・保安院がおこなう。公然たる癒着であり、八百長である。申請する電力会社と許認可の官庁が天下りの関係にあるので、八百長と天下りが、もっとも危険な原発建設と運転との間に介在してきた。福島原発大事故の発生基盤である。
中略
それでも、原発の侵攻を食い止め、ついに原発地図に載らずにすんだ町がある。私が取材に行っただけでも、新潟県巻町(現、新潟市)、石川県珠洲市、山口県豊北町(現、下関市)、宮崎県串間市である。ほかにも、三重県の芦浜地区(南伊勢町、大紀町)、高知県の窪川町(現、四万十町)などがある。
鎌田慧セレクション4 さようなら原発運動 207頁
市町村が原発の誘致に走ったのか、それを食い止めたのかが後の明暗を分けているようです。
石川県珠洲市に原発があったら、先日(2024年1月1日)の地震でどうなっていたことか!?