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テトラ中性子核が観測された!

原子核には、陽子と中性子とがあるのが常識で、陽子がない中性子のみの原子核(原子番号ゼロの原子核)を観測することは、これまで出来ていなかったようなのですが、Nature オンライン版の2022年6月23日号には、中性子が4つのみのテトラ中性子核が見つかったという記事が載りました。

https://www.nature.com/articles/s41586-022-04827-6

そのプロセスは、次のようなものです。

観測結果は次のようなもので、朱色の線のところが、4中性子状態を示しているということです。

理化学研究所では、テトラ中性子核を生成する手法のイメージを次のように分かりやすく説明しております。

https://www.riken.jp/press/2022/20220623_1/

理化学研究所の解説では、「今回、国際共同研究グループは、RIBFで得られるヘリウム-8(8He、陽子数2、中性子数6)のビームと陽子の散乱により、テトラ中性子核(4n)を生成しました。実験を成功に導いたのは、8Heから4個の中性子を撹乱させることなく、ヘリウム-4(4He、陽子数2、中性子数2)を瞬間的に抜き取る反応を用いるというアイデアです。この手法は、テーブルクロス(4He)の上に乗った4個のワイングラス(中性子)を壊すことなく、テーブルクロスを引き抜く様子に例えることができます。」となっております。

このテトラ中性子核は、60年間も見つけられていなかったということのようで、素晴らしい実験結果ですね。実験は、理化学研究所、ダルムシュタット工科大学、東大大学院、東京工業大学の共同研究であるとのこと。私、ダルムシュタット(ドイツ)には、仕事でほんの2、3日行ったことがあるんですけどね。